腰痛は、鍼や灸などのツボ療法が最も威力を発揮する症状の一つとされています。東洋医学には「通じざれば、すなわち痛む」という言葉があります。人体には経絡(けいらく)と呼ばれる14本(体の中心線である任脈、督脈を含む)の「気」(生命エネルギー)の通り道があり、その気の流れがとどこおった部分に痛みが生じると考えます。経絡(けいらく)の流れが正常化すれば痛みは消失します。そこで臨床経験上、最も効果がある治療点として選ばれたのが、経絡(けいらく)上にある経穴(けいけつ)(ツボ)というわけです。腰痛に関係している経絡(けいらく)は、腰を通っている膀胱経(ぼうこう)、胆経(たんけい)のほか、腎経(じんけい)、肝経(かんけい)、胃経(いけい)、大腸経(だいちょうけい)などです。胆経を例にとれば、腰痛の治療に「陽陵泉(ようりょうせん)」など、腰ではなく足のツボが用いられるところに東洋医学ならではの妙味があります。
(「健康」編集部)