腰痛や円背(えんばい)矯正対策としてよく使われるコルセット。その伸展型(ジュエット型)コルセットと同じ理屈で、腰痛に効くものはないかと考え出されたのが、体の前方の2本のベルトとリュックの底とで3点支持ができるリュック歩きです。リュックなら、たいていの家にあるし、コルセットのような窮屈さもありません。腰痛に悩む人に試してもらうと、「腰痛が軽くなった」「歩行が容易になった」ととても好評でした。
リュックはベルトの長さを調節できるものであればOKです。まずリュックの底の部分が骨盤のあたりにくるようにベルトを調節したら、リュックの中に0.5~1kgの重さの荷物を入れます。割れにくい、米や塩などやわらかいものがおすすめです。1日30分程度のウォーキングを毎日つづけることで、腰の痛みはどんどんよくなっていきます。
リュックを背負うと、骨盤の部分を力点にして、前胸部の両ベルトで円背によるうつむき姿勢が後ろに引っ張られからだが起きてきます。腰がまっすぐになり背中が伸びれば、自然と膝の曲がりもおさまってきます。これが腹筋と背筋のバランスがととのった状態です。筋肉に無理な力がかかることがなくなるので、腰痛や歩行困難からもしだいに解放されていくでしょう。腰痛のためにほとんど歩けなかったのに、1kmも歩けるようになった人も多くいます。
(和歌山県立医科大学教授・医学博士 上好昭孝)