高齢化社会を迎え、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)が大きな社会問題となっています。骨粗鬆症の推定患者数は1000万人以上。脊椎や大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)の骨折が原因で寝たきりになった高齢者は現在約10万人といわれ、いまやその骨折の主な原因は、骨粗鬆症といっても過言ではありません。
骨粗鬆症は、骨がかすかすになってもろくなり、身長が低くなったり、背中が丸くなり背中や腰が痛む病気です。骨粗鬆症になると物などにつまずいて転び、簡単に太もものつけ根や手くびが骨折します。原因は、高齢やカルシウム不足、運動不足、ビタミンD不足などがあげられますが、とくに更年期を迎えた女性は、女性ホルモン(エストロゲン)が不足して骨塩量(カルシウム量)が減少するため、男性にくらべて発症する率が高くなります。女性で早い人は40代から始まり、年齢が増すにつれて増加し、80代では3人に2人がこの病気にかかっているといわれています。
予防法としては、若いうちから骨塩量を蓄え、年をとるとともに減少するカルシウムの減少スピードを遅らせることがたいせつです。そのためには、カルシウムやカルシウムの吸収を促進するビタミンDを含む食品をとったり、骨を丈夫にする適当な運動を行ったりします。また、喫煙、コーヒーの飲みすぎには気をつけましょう。若いころの無理なダイエットも、骨塩量を本来ふやさなければならない時期にそれを怠ることになり、将来、骨粗鬆症になる引きがねとなる危険性があります。(1)1日1000mgを目標にカルシウムをとる、(2)1日2~3km歩く、(3)戸外に出て日光に当たる、という予防3原則を守り、日ごろから活動的な生活を心がけましょう。
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)になると、太もものつけ根と背骨が骨折しやすいので、転んだりしりもちをつかないように注意します。治療はカルシウムの摂取、ビタミンD製剤やビスホスホネート製剤の服用、女性ホルモンの補充療法などが効果的です。カルシウムの摂取には吸収率のいい牛乳がいちばんですが、牛乳が飲めない人は、スキムミルクを1日あたり大さじ2~3杯、料理などにまぜてカルシウム不足を補うとよいでしょう。40才を過ぎたら、定期的に骨塩量の測定を行いましょう。