東洋医学では「腎は腰の腑」といい、「腎」は腰と関係の深い臓器であると考えています。中高年のかたが訴える慢性腰痛は、腰が冷えてだるい、重いといった症状をともないますが、東洋医学ではこれを「腎」の働きの衰えとしてとらえています。
「腎」は泌尿器系の働きだけではなく、ホルモン系や生殖器系などの働きも含み、津(しん)液(えき)(リンパ液、汗、胃液など体内の水分の総称)の調節をつかさどりますが、老化とともに「腎」の働きが弱まると、津液の流れが悪くなるため、足腰が冷え、腰が痛みやすくなるのです。
こうした腰痛を解消するには「腎(じん)経(けい)」という経絡(気の通り道)にあるツボを刺激して「腎」に元気をつけることが必要です。腎経は、足のうらにある「湧泉」というツボを始点とし、土踏まずの内へりを走って足の内側を上っていきます。慢性腰痛で悩んでいるかたは、湧泉をこぶしでトントンたたいたり、強く押しもむようにしてください。腎経の流れが改善され、痛みが軽くなるはずです。また、台所で立ち仕事をしているときなどに、土踏まずの内へりを反対の足のすねにこすりつけて刺激するのも、効果が期待できます。
(永井治療院院長 永井秋夫)