腰痛の大部分は腰の骨からくるものではなく、三大要因は運動不足、ストレス、慢性疲労で、それに加え、悪い姿勢、肥満、弱い筋肉などによって起こる、いわゆる「腰痛症」といわれるものです。腰痛症は原因不明の症状で、X線写真を見ても異常がなく、内臓などに原因もないのに腰が痛む、というタイプのものです。同じ姿勢で、背骨の筋肉が緊張するような姿勢を長時間とりつづけると筋肉がこわばり、ウッ血して痛みを起こします。中腰の姿勢で仕事をする人や、長時間すわり仕事をしている人などに多く、筋肉の疲労が積み重なって起こると考えられています。
これらは生活習慣が原因なので、改めない限り何度でも再発します。姿勢をよくして毎日体操を行うのが、腰痛症の予防にはいちばんたいせつです。体操は筋肉のこりをほぐして血液の循環をよくするとともに、筋肉を強化し、再発防止に効果があります。筋肉の痛みは、入浴などで患部をあたためたり、マッサージや指圧などをしても軽くなります。
腰痛症が筋肉の慢性疲労であるのに対し、急性の痛みを起こすのが「ギックリ腰」です。くしゃみや重い荷物を持った拍子になるとか、中腰から立ち上がったとたんになるなど、急な動作がきっかけとなり腰に激痛が走ります。しかしX線写真に写るような骨の異常はなく、「腰痛捻挫(突発性腰痛)」と呼ばれています。
痛みの原因のひとつは、背骨の後ろ側で椎骨と椎骨を結ぶ小関節がはずれかけ、その間に関節をおおう袋(関節包)などがはさまれて痛みを起こす場合です。また、椎間板に小さな傷が入っていたり、背骨をつなぐ靭帯が捻挫のように無理に引き伸ばされても強い痛みを起こします。ほかに、筋肉が肉離れの状態で引っぱられていることも考えられます。
しかし、ギックリは痛みが強いわりには治しやすい病気でもあります。2~3日間横になるなど、とにかく安静を保つと痛みは消え去ります。ただし、再発を繰り返すと椎間板ヘルニアになることもあるので、日ごろから腹筋や背筋などを鍛え、急に中腰で物を持ち上げたりしないように日常生活の動作も注意しましょう。